
寛政7年7月17日は、江戸時代を代表する絵師「円山応挙」の忌日となります。
応挙といえば「写生」を重視した緻密なスケッチから生まれる装飾性豊かな花鳥風月図が有名であり、京都画壇においては現代にまでその系統が引き継がれています。
また応挙といえば「幽霊画」の大家としても知られた人物。
ただ「足のない幽霊」を最初に描いたのは応挙だという説もありますが、これは定かではないようです。
元禄時代の浄瑠璃本には「足のない幽霊」が描かれております。ただ肉筆画で「足のない幽霊」を描いたのは応挙が最初だと言う説は有力なようですが。
「応挙の幽霊」といえば、落語の「応挙の幽霊」が有名ですネ。
骨董屋の主人が、幽霊画の好きな客に、「これは応挙の絵だと思うんですがね・・・・・」と言って、1幅の掛け軸を見せます。
客は一目見るなり、その絵を気に入り、「オウキョでもラッキョでもいいから明日の朝に届けてくれ!」と内金を払って出ていきます。
骨董屋の主人は、仕入れ値の10倍で売れたことに大喜び!
これでやっと亡妻の法事ができると、幽霊画を床の間に掛け、酒や肴を用意して一人飲み始めます。
するとそこに、掛け軸から抜け出した色っぽい女の幽霊が現れます。
幽霊が言うには、いつもは「やれ薄気味悪いやら、怖い」と言われ、すぐにしまわれてしまうのに、今日は私を見ながらお酒を飲んでいただいて、うれしくて出てきてしまいましたと・・・・・・。
それから二人は、差しつ差されつ飲み明かします。
そして、あたりがほのかに明るくなった頃、青白い顔をしていた女の幽霊は、真っ赤な顔をして掛け軸の中にもどってしまいました。
掛け軸を見ると、女の幽霊は酔っぱらって、腕枕をして寝込んでおります。
主人が「おい、おい、いつになったら起きてくれるんだ? 今日の朝には、客の所へ届けなければいけないのに!」と問いかけると
「幽霊なんだから、丑三つ時に決まっているでしょ・・・・・・・・」
お後がよろしいようで・・・・・・・・。