2013年10月08日

沈魚落雁(ちんぎょ らくがん)

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今日10月8日は二十四節気の寒露の初候、七十二候では鴻雁来(こうがんきたる)。
東北の山々が赤く染まり、雁が飛来して来る時候です。
雁(がん/かり)はカモ科の水鳥の総称で、カモより大きく、ハクチョウより小さいものを雁と呼ぶそうです。

■津軽地方に伝わる物悲しい「雁風呂」伝説
秋に飛来する雁は、木片を口にくわえたり、足でつかんで運んでくると信じられていました。渡りの途中、水面に木片を浮かべ、その上で休息するためだそうです。日本の海岸まで来ると、不要となった木片はそこで一旦落とします。そして春になると、再び落としておいた木片をくわえて海を渡って帰っていくのだと考えられていました。そして旅立ちの季節が終わっても海岸にまだ残っている木片があると、それは日本で死んだ雁のものであるとして、供養のため旅人などにその木片で焚いた風呂を振る舞ったという、ちょっと物悲しいお話です。
実際には雁がそのような行動をとることはないそうですが・・・・・・。

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伊藤若冲「芦雁図(ろがんず)」
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歌川広重「月に雁」
■伊藤若冲「芦雁図(ろがんず)」と歌川広重「月に雁」
「奇想の画家」と称された伊藤若冲の「芦雁図」と、日本を代表する浮世絵師 歌川広重の「月に雁」。
どちらの絵も上空から真っ逆さまに下りてくる雁が、ダイナミックな構図として描かれています。
雁の一瞬の描写をとらえたすばらしい絵ですが、実際にはこのような飛び方はしないそうです。コアジサシやカツオドリが魚を捕らえるために水面に向かってダイヴしますが、雁は水面に着水するときは、飛行機のように後から降り立つのが普通だとか。
しかしこの緊張感あふれた二枚の雁の絵は、若冲、広重ともに、その桁外れの写実能力と想像能力が生み出した傑作に違いありません。

■沈魚落雁閉月羞花(ちんぎょらくがんへいげつしゅうか )
中国の古い故事で、もともとは『荘子(そうじ)』斉物論(せいぶつろん)にある逸話です。
〈あまりの美しさに、魚は沈み隠れ、雁は列を乱して落ち、月は雲間に隠れてしまい、花も恥らってしぼんでしまう〉という意味ですが、それはあくまでも人間を基準とした考えであって、魚や雁が美人を見ても、ただ怖がって逃げるだけという荘子(そうし)の相対性を表した言葉です。
そう言われると身も蓋もありませんネ。
若冲、広重の絵も、美人に目が眩んで落ちてくる雁の姿と想像すると、粋で趣きがあります。


posted by ツルカメ at 17:07| Comment(0) | 七十二候 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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