2014年08月04日

妖し、恐ろし、美しき絵物語。

清明.jpg
夢枕 獏の人気シリーズ「陰陽師」の絵物語版、「瘤取り清明」。
和紙による美しい装丁、村上豊さんが描く剽軽ながら哀愁の漂う魑魅魍魎たち。
そして夢枕 獏のデビュー作である「カエルの死」を彷彿させる斬新なタイポグラフィカルアート。まるで平安時代の絵巻物のような本作は、民話「瘤取り爺さん」をベースにした、ご存知「安倍晴明」と「源博雅」が活躍するお話。

瘤取り爺さんといったら、宇治拾遺物語の「瘤とりの翁」や太宰治の「お伽草子/瘤取り」等、様々に脚色されたものがあり、日本のみならず世界中に似たような話しがあるそうですが、「もの羨みは 狭じき 事なりとか」で「欲のない者が得をし、欲張りが損をする」という教訓話しです。

夢枕 獏版「瘤取り清明」は、鬼によって左右の頬に瘤をつけられてしまった翁らの嘆願によって、対策にのり出す清明と博雅。
今までの「陰陽師」シリーズにみられるオドロオドロしさはなく、飄々とした清明と、ユーモラスな鬼や魍魎たちとの洒脱な駆け引きが最高です。

そして、鬼たちの願いで奏でる博雅の笛の音は、ゆるゆると天に登り、月の光に昇華してゆき、その妙なる調べに鬼哭啾々する、鬼や魑魅魍魎たち。
彼らは翁の瘤と引き換えに、博雅の笛の音によって自分らが生者であった時の一時の安らぎを手に入れるのです。

読んで良し、見て良し、手にとって良し。電子書籍では味わうことができない、本の醍醐味を知らしめてくれる一冊です。



posted by ツルカメ at 15:32| Comment(0) | 本のはなし・・・ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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