
ルーベンス:「キリスト昇架」十字架に掛けられるキリストを描いたもの。

ルーベンス:「キリスト降架」磔刑に処されたイエスの亡骸が降ろされる場面を描いたもの。
日本では、アニメ世界名作劇場でお馴染みの「フランダースの犬」。
「火垂るの墓」同様に最終回は、何度見ても涙なしにはいられません。
クリスマス・イヴの悲しい奇跡
アントワープが生んだバロック芸術の天才ルーベンスを尊敬し、彼のような画家になることを夢みていたネロ。
しかしジェハンおじいさんも亡くなり、アロアの家の風車に放火した疑いをかけられ、最後の望みの絵画コンクールにも落選。村人から冷たくされ、仕事もなくなり、住まいも失ったネロは、失意の内にクリスマス・イヴのミサが終わったアントワープ大聖堂に入っていきます。
ここにはネロの大好きなルーベンスが描いた傑作「キリスト昇架」と「キリスト降架」の三連祭壇画が飾られていますが、拝観料を払うことができないネロは、まだ見たことがありません。
しかし、イヴの夜に奇跡が起きます。いつもはカーテンに隠されて見えないはずの絵が、月光がに照らされて
ネロのまえに浮かび上がってきたのです。
そしてかたわらには、ネロを探して吹雪の中を、必死でやってきたパトラッシュが横たわっています。
「探しに来てくれたんだね、ありがとう。僕たちはいつまでも一緒だね。ずっと見たかった絵を見ることができて、すごく幸せなんだよ・・・・・・」
そしてネロとパトラッシュはルーベンスの「 キリスト降架」の絵の下で、硬く抱き合ったまま天国へ召されていきます。
死ぬ前に夢をかなえることができたネロ。しかしそれは、あまりにも悲しい奇跡です。
天国への昇華が果たして幸せなのか・・・・。
それはネロ本人にしか分からないことでしょうが、10歳の少年にはあまりにも過酷な現実に疲れきってしまったのでしょう。「火垂るの墓」同様、周りの大人たちがもっと見守ってあげることができたなら・・・・・。
といつも思って涙ぐんでしまうのです。