2016年06月09日

狂気の絵師が描く、静寂の美と恐怖・・・・・

産女.jpg
月岡芳年:「幽霊之図 うぶめ」肉筆絹本

今日6月9日は、幕末から明治にかけて活躍した「最後の浮世絵師」月岡芳年の命日です。
河鍋暁斎や落合芳幾らとともに、浮世絵師 歌川国芳に師事した芳年。
武者絵、歴史絵、美人画、役者絵等、様々な浮世絵を手がける中、猟奇的な「無惨絵」の絵師としても知られ、「血まみれ芳年」とも呼ばれた浮世絵師の月岡芳年。

そんな芳年の作品の中でも特に異彩を放つのが、肉筆による「幽霊之図 うぶめ」の絵。
一見、腰巻きだけを着けたエロティックな女性の後ろ姿かと思いきや、よく見ると腰巻きは血で染まり、おまけに足がありません。そして腕には赤ん坊を抱いているのか、小さな足が二本見えます。

うぶめ「産女」「姑獲鳥」とは、死んだ妊婦をそのまま埋葬すると「うぶめ」となって現われるという妖怪です。日本では古くから多くの地方で、子供が産まれないまま妊婦が死亡した際は、その腹を裂いて胎児を取り出し、母親に抱かせたりして葬る事という伝承があったそうです。

民俗学者の柳田国男によると「うぶめ」は、深夜の道の辻や、橋のたもと、厠などに現れ、出くわした人間に自分の子を抱いてほしいと頼むそうです。そして頼まれたら、決して断ってはならないとされ、断ったらその場で命を落とすとか・・・・・・・。
 
その「うぶめ」を芳年が描くと、こ〜なるのですネ。スゴイですネ〜!
無事に赤子を生むことができなかった女の無念。
その無念さが静寂の中、痩せこけた背中から鬼気と迫ってきます。

そして本当の恐怖は、彼女が振り向いたその顔にあるのです。

幽霊画の大家、円山応挙にも、芳年の師匠 歌川国芳にも描くことができない傑作です。







posted by ツルカメ at 20:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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