2010年02月02日

青春なんぞくそくらえ!俺たちは真っ赤に燃える朱夏だ

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今野 敏さんの「朱夏」です。タイトルになっている「朱夏」、実は私もこの本を読むまでこんな言葉があることも知りませんでした。 ストーリーは主人公である警視庁強行犯係の刑事、樋口の妻が何者にか誘拐されてしまいます。妻は「夫が絶対自分を助けてくれる」と信じ、刑事であり夫である樋口は、そんな妻の想いを感じながら同僚の刑事と犯人を追いつめていくというお話です。
そして物語の最後に、樋口と同僚の刑事とのこんな会話があります。

「この国はマーケティングという言葉中心で動いているくだらない国になっちまった」
「そう、大人が自分たちの文化に自身を持てないのが一因だ」
「青春ばかりがもてはやされるから、いい大人が未だに青春している、などと馬鹿なことを言っているんだ」
「大人がもっと自身をもてばいいんだ。青春なんぞくそくらえ!『青春』の次には『朱夏』が来る!」
「そう、朱色の夏。燃えるような夏の時代。そして『白秋』、白い秋を迎え、やがて『玄冬』、黒い冬で人生を終えるんだ」と・・・・。

『青春』『朱夏』『白秋』『玄冬』とは中国の五行説に基ずく考えだそうです。しかし青春の次にくる言葉があったとは知りませんでした。『朱夏」・・・いい言葉ですネ。

サァ中年の皆さん、まだまだ寒いですが、燃えるような夏の時代を突き進もうではありませんか!






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2009年12月05日

栄光と失意の中、己の絵を描き通した信念の画家。

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もりた なるお著の「山を貫く」。
日本で本格的な油絵を習得した、日本で最初の洋画家といえる高橋由一(写真の「塩鮭の図」が有名かな!?)の栄光と失意を描いた物語。明治初期、西洋文化の推奨により脚光をあびだした西洋画だが、フェノロサと岡倉天心らの「日本美術復興運動」の波にのまれ、日本の西洋画壇のトップであった高橋由一は苦しい立場に追い込まれます。そんな中、山形の「鬼県令」と呼ばれている三島通庸から「栗子山隧道」の工事記録画の依頼を受けます。
意気揚々として描き出した由一でしたが、三島がのぞんでいるのは工事記録としての画であり、お互いの主張が激しくぶつかり合います。それでも己の信念のまま描き続ける由一は、難工事に従事する人々の苦しみの悲鳴と絶叫が聞こえるような真に迫った画に仕上げてしまいます・・・。  西洋画が復権したのは由一の死後ですが、今なお異彩を放つ「栗子山隧道」の画は、宮内庁と山形美術館に所蔵されているそうです。
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2009年11月20日

「極道の世界はコンピュータの二進法と同じ白と黒しかないんですヨ」

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「ゴッド・ブレイス物語」にはじまって「「なで肩の狐」「ブルース」「セラフィムの夜」「皆月」「ゲルマニウムの夜」「二進法の犬」等、一時期、花村ワールドにハマリにハマッて、読みあさっておりました。なかでも「ブルース」とこの「二進法の犬」は最高ですネ。
(残念ながら二進法の犬以降は一冊も読んでおりませんが)。京極堂なみの分厚い本ですが、一気に読めてしまう面白さです。芥川賞を受賞した「ゲルマニウムの夜」では控えめだった花村ワールドが一気に炸裂!!。
ひょんなことで武闘派で名の知れた組長の娘の家庭教師をすることになった主人公の青年が、極道という特異な世界の中で、次第に自分の所在を見いだしていきます。激しいまでの暴力、そして狂おしいまでの性愛。「人」がその心に抱く深い闇を、重厚かつ切なく描いた物語です。(組長にかわいがられている若いヤクザの中嶋が、いい味を出しているんですヨ。惚れてしまいます!!)
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2009年10月05日

一太刀により薩英戦争が勃発、そして幕府崩壊への引き金へ・・・!

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歴史の教科書では、一行位の説明で終わってしまう「生麦事件」を、吉村昭が緻密な試料収集と綿密な現地調査を元に描き上げた渾身の一冊です。江戸より薩摩へ戻る島津久光の行列へ、運悪く騎馬にて通りかかった4人のイギリス人を無礼打として殺傷してしまった薩摩藩。この事件によりイギリスは当時最強であったイギリス艦隊を鹿児島湾に派遣し最新のアームストロング砲により鹿児島市中は火の海に。この戦争により薩摩藩は外国の技術力の高さを知らされ、攘夷の愚かしさに気づきイギリスとの講和を求めます。そして攘夷から開国へと転換した薩摩藩は、イギリスから最新の武器や軍艦を手に入れ、旧態依然の刀や火縄銃の幕府の倒幕へと突き進んでいきます・・・。
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2009年08月15日

何回みても泣いてしまいます・・・・。

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この時期になると、やっぱやるんですね。「火垂るの墓」。なんか1年に1回は見てるけど、やっぱ泣いてしまいます。野坂昭如の原作を読んだのは20年位前になりますかね。まだサラリーマンで電車通勤中に読んでいましたが、本もダメです。泣いてしまいます!!進駐軍コンプレックスを描いた「アメリカひじき」など6編からなる短編で、「火垂るの墓」は自身の体験を元にした話でもあり、実際の妹をやはり栄養失調で亡くしているそうです。昭和戯作派とも呼ばれた独特の語りスタイルの文体は、最初とっつきづらいですが、読みこんでいくうちにハマってしまいますヨ! ちなみに「アメリカひじき」と「火垂の墓」で第58回直木賞を受賞しております。最後に節子にドロップをいっぱい舐めさせてあげた〜い!
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2009年08月05日

死してなお、苦しみもがく、恐ろしくも哀れな異形の物達

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古典文学の最高傑作のひとつである、上田秋成執筆による「雨月物語」です。小学生の時とかに読んだ方も多いのでは・・・。「白峯」「菊花の約」「浅茅が宿」「夢応の鯉魚」「仏法僧」「吉備津の釜」「蛇性の婬」「青頭巾」「貧福論」の九話からなる、いずれも妖怪や幽霊等の非現実の世界を描写した物語です。しかし「雨月物語」が古典文学の傑作である所以は、単なる怪談話では無い事です。ここに登場する幽霊達は、現世に生きる私達と同じように、苦しみ、もがき、その様は哀れでなりません。九話の中でも特に「菊花の約(ちぎり)」が小さい時から好きでした。義兄弟の契りを結んだ友人との再会の日を守るために、囚われの身となり身動きできなくなった主人公は「人、一日に千里をゆくことあたはず。魂、よく一日に千里をもゆく」という故事にならい、自らの命を絶ち、魂魄となり友人に会いにゆく話です。人は信義のために生き、信義のために死す。信義の重さを読む度に感じます。

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2009年07月10日

愛と憎、美と醜、正気と狂気が織りなす究極の純愛小説

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第25回泉鏡花賞を受賞した京極夏彦さんの「嗤う伊五衛門」です。実はこれ以外の京極さんの本は読んだことはありません(だって持ち歩くには分厚すぎるんで)。本書は京極版「四谷怪談」です。ちなみに下の画像は昨日、新宿での打ち合わせの帰りにお参りへ行った四谷三丁目にある「於岩稲荷」です。お岩さんは江戸時代の初期に実在した人物で、田宮家のために健気に働いた女性で、その美徳を祀ったのがこの神社だそうです。お岩さんの死後200年近く経ってから、鶴屋南北がお岩さんの名声にあやかって書いたのが東海道四谷怪談ですが、本書は怨霊・亡霊などをだすことなく、京極さんの巧みな表現でジンワリとした恐ろしさが伝わってきます。嗤うことがなかった夫、伊右衛門は最後になぜ嗤ったのか・・・。新感覚の怪談小説です。


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2009年07月04日

この世の中は幻影か!?

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まだ会社務めをしている頃に、友人から勧められて読んだリチャードバックの「イリュージョン」です。この本も2〜3年に一度、読み返す愛読書となりました。何度読んでも感銘を受ける不思議な本です。日本では「かもめのジョナサン」が映画と相まってヒットしましたが、こちらの方が好きですネ! お話は、オンボロの複葉機に乗った救世主が旅の途中で知合った友人(リチャード)とくりひろげる愛と奇跡の物語です。物語の冒頭に救世主とリチャードが初めて出逢うシーンがあります。「じゃまかな?じゃまなら消えるけど」「いや、待ってたのさ、君をね」「そうかい、遅くなってごめんよ」・・・素敵な会話ですネ!
「イリュージョン』は自由に生きる勇気を与えてくれる・・そんな本です。
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2009年06月28日

この日が来るのを21年間、待ってました〜!

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イヤ〜、最新刊がいつ出るかいつ出るかとズッ〜ト首を長くして待っていたら、なんと21年もたってしまったんですネ。獏さん、待ちわびていましたヨ、「九十九乱蔵」に再会できるのを。最近の格闘技系のお話もオモシロイですが、やっぱなんといっても「闇狩り師」が最高ですよ。身長2メートル、体重145キロの巨漢「九十九乱蔵」が愛猫の猫又シャモンをひきつれて妖物退治をするお話です。昨今、アニメや漫画で同じようなお話はありますが、元祖といっても過言ではないでしょう。最新刊の「黄石公の犬」・・・・・・実はまだ読んでいません。読み出すと1日で読んでしまいそうで、なんかもったいなくて。ウ〜読みたいけど、どうしよう。ジレンマにおちいっています。
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2009年06月22日

これぞ技術者魂!!

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太平洋戦争末期、一人の技術者が米本土を爆撃できる超巨大爆撃機の製造に命を懸けたノンフィクションです。B29の1.5倍、六発エンジン、3万馬力、航続距離1万7千キロという途方もないその巨大機は太平洋を無着陸横断し、米本土を爆撃したのち、大西洋を横断してドイツ占領下のフランスに着陸するという壮大な構想でした。巨大爆撃機の名前は「富嶽」。その製造に心血を注いだのが中島飛行機の創設者、「中島知久平」です。戦争終結までは三菱航空機を凌ぐ東洋最大の航空機メーカーで、「隼」「疾風」「呑竜」などの名機を手がけ、ジェットエンジンやロケットエンジンの独自開発にも着手していました。残念ながら「富嶽」は計画途中において頓挫してしまい「幻の巨大爆撃機」となってしまいますが、戦後このような民間技術者たちが核となって、日本復興の足がかりになっていった思います。
あの「零戦」を製造した三菱は自動車産業へ方向転換し三菱自動車となり、海軍等のレーダー技術の開発をしていた井深、盛田は東通工(現ソニー)を起業し、中島飛行機は富士重工へとなっていきました。製造業が不振の現代、多くの技術者達に夢を与える一冊かと。

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2009年06月13日

「真夏のオリオン」の原作です。

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去年ブックオフでおもしろそうなので買った池上 司の「電撃深度十九・五」です。
太平洋戦争において艦艇同士の最後の戦いである、昭和二十年七月二十八日、原爆を運ぶ米重巡洋艦インディアナポリスをグアム・レイテ線上で撃沈すべく待ち受ける海軍伊号五八潜水艦の戦いを史実に基づいて描いた小説です。長年の宿敵である永井少将と敵艦長マックベイの因縁の対決が見せ場です。
最近この本が映画「真夏のオリオン」の原作だとしりました。「亡国のイージス」の福井晴敏が脚本したとか・・・。あぁ〜でも映画みるときっとガッカリするんだろうな。「亡国のイージス」も小説ではあんなにおもしろかったのに。 なんでだろう!?
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2009年06月10日

信仰とは、学問とは、そして人が生きる真の意義とは・・

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医療系サスペンスの多い帚木蓬生氏の初となる時代小説です。
奈良時代、聖武天皇の大号令で始まった国家的プロジェクトの大仏造立のために地方から集められた人足たちの、命がけの過酷な労役を主人公である国人(くにと)という青年を通して、緻密で繊細に描写した物語です。学問の大切さ、働くことの大切さ、そして相手を思い遣る愛情の大切さを痛感いたします。
物語の最後の方で無事造立がすみ、都を去る国人に知り合いの僧侶が「盧遮那仏をつくったとなれば、そなたも仏だ」と言うシーンには思わず感動いたします・・・。
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2009年06月06日

愛読書です!

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蔵書の中で、読み返した回数が一番多いのが、この新田次郎の「孤高の人」です。
昭和初期、登山というものがまだ限られた裕福な人々だけの世界であった時代、高等小学校卒業の学歴しかない主人公「加藤文太郎(実名)」が単独行という孤独との戦いの登山を通じ、成長してゆく過程を実話を基に描いた物語です。何キロもある石を詰めたリュックを背負い、真冬でも外套ははおらず、庭にテントを張って寝るという、その強烈な意思と個性には感動いたします。
最近コミックにもなっていますが、コミックを読んで興味をもった方は小説も読んでほしいですネ。(結構内容は違いますから・・)
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2009年05月30日

初めて読んだ本。

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初めて読んだ本は、小学四年生のときのジュール・ヴェルヌの「十五少年漂流記」です。
たしか風をひいて学校を2,3日休んでいるとき布団の中で読んでいた記憶があります。
児童向けの文字の大きな本だったから、多少内容は簡略化されていたかもしれません。今ではストーリーもさだかではありませんが・・・。ただ面白く一気に読んでしまったことは憶えていますネ! これがたぶん活字のおもしろさを知った最初です。その後は「海底二万マイル」とか「地底探検」など、小学生のときはSF冒険小説に夢中になっていました。
最近は読む数が減ってきましたが、本は面白いです。なんといっても、手っ取り早く様々なジャンルの中に身をおくことができるのですから・・・・。
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